「偽りの未来」


あの頃、世界はほんの少しの痛みと、
欠けることのない幸せに満ちていて、
いつだって穏やかな明日が約束されていた。

けれど、もうここには何もない。

いつからか、素晴らしかった全てのものは意味をなくし、

この世界の存在が間違っていると感じていた。

終わりの始まりは、いつだったのだろう?
あの時、信じていたものが突然、見えなくなって、
手探りのまま選んだ道が?
それとも、そんなことよりもずっと前から……?

そうしなければならないと言う人がいた。
それを拒んだ人もいた。

私は、

失われていく全てのものを前にして、

ああ、「これ」は失敗だったのだ、と思った。